屋内配線の「分岐回路」とは?
建物まで届いた電気は、屋内配線を行うことで照明や家電が使えるようになります。
その屋内配線は一般的に幹線と「分岐回路」で構成されています。
分岐回路とは、電気に詳しい方ならご存知かと思いますが、「低圧屋内幹線から分岐して、電気使用機械器具に至る低圧屋内電路」のこと。
特に、第二種電気工事士の試験問題で多く出題されるため、資格取得を目指している方は絶対に覚えておきたい知識です。
そこで今回は、難しい話よりも簡単に「分岐回路」とは何かご説明いたします。
▶︎目次
1.屋内配線の「分岐回路」とは?
一般的に電気工事の屋内配線は、幹線と分岐回路で構成され、分岐回路には過電流遮断器の取り付けが義務化されています。
そこで、幹線と分岐回路を説明しておくと、
◆幹線とは?
電柱から電線を引き込んだ引込口から分岐ブレーカー(開閉器や過電流遮断器)までの電路のこと。
電気を利用する主要な場所までを結ぶ太い電線になります。
◆分岐回路とは?
分岐ブレーカー(開閉器や過電流遮断器)から利用する電気機器までの電路のこと。幹線から枝分かれして、電気を使用する各部屋や場所へ振り分けられた細い電線になります。
図で表すと、(「関東電気保安協会」電気の豆知識 参照)
この図では、開閉器が4個並んで取付けられ、右側3つの開閉器が「分岐開閉器」。分岐開閉器には、「過電流遮断器」が使用され分岐回路の末端までの配線を電気的に保護する役割を持っています。
そこを通って、電灯、コンセント、電動機などに至る配線が「分岐回路」となるわけです。
この枝分かれした分岐回路は、次項でご紹介しますが、種類によって接続できるコンセントの定格電流と配線できる電線の太さが決められています。
仮に決められた基準に沿っていない場合、分岐回路内にあるコンセントから電気を使ったとき、電線が出火して火災になる危険があるので、決められた基準内で配線することが絶対条件になっています。
分岐回路の過電流遮断器の設置箇所
分岐回路に取付けが義務化されている「過電流遮断機」の設置個所まで決められています。
基本的には、分岐回路に設置する開閉器や過電流遮断器は、分岐点から電線の長さが3m以下の箇所へ設置する必要はありますが例外はあります。
それは、分岐点からの電線の長さが8m以下で、分岐回路の電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格電流の35%以上の場合は、分岐点から3mを超える箇所にも施設できます。
また、電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の定格電流の55%以上の場合、分岐点から何メートル以内といった制限は特に設けていません。
以上、専門的な説明でしたが、屋内配線が幹線と分岐回路に分かれていることだけでも理解しておきましょう。
2.分岐回路の種類と定格電流および線の太さ
前項で説明しましたが、分岐回路の種類によって接続できるコンセントの定格電流と配線できる電線の太さが、以下のように決められています。
また、分岐回路に入れる開閉器や過電流遮断器の定格電流まで決められているのです。
種類 | 接続できるコンセントの定格電流 | 電線の太さ | 過電流遮断器の定格電流 |
---|---|---|---|
15A | 15A以下 | 直径1.6mm | 定格電流15A以下 |
B20A | 20A以下 | 直径1.6mm | 定格電流15A超20A以下 |
20A | 20Aのもの | 直径2.0mm | 定格電流15A超20A以下 |
30A | 20A以上30A以下 | 直径2.6mm | 定格電流20A超30A以下 |
40A | 30A以上40A以下 | 断面積8mm2 | 定格電流30A超40A以下 |
50A | 40A以上50A以下 | 断面積14mm2 | 定格電流40A超50A以下 |
以上のように、それぞれ定められた通りに接続する必要があり、基本的な設定は電気工事業者が行うので、予備知識として理解していただければ幸いです。
3.まとめ
今回は、電気工事に伴う屋内配線の「分岐回路」を簡単に説明いたしました。
特別、利用する際に関係ある知識ではありませんが、屋内配線は「幹線」から「分岐回路」に枝分かれして接続されていることだけでも理解していただければと思います。
第二種電気工事士の資格を目指している方は、筆記試験で度々出題されているようなので、しっかり勉強しておきましょう。