オフィスの屋内配線は電源計画が重要!
現在のオフィスは、社員一人一人のデスクにパソコンの設置は当たり前。仕事をしていくうえで、パソコンがなければ何もできなくなるといって過言ではありません。
そのパソコンを使うためには、当然電源が必要。
基本的にオフィスの屋内配線は、社員すべてのパソコンやプリンターの電源を確保するために行われます。
しかし、屋内配線に失敗してしまうと、コンセントが足りなくてタコ足配線に。
タコ足配線はオフィスの景観を悪くするだけでなく、OAタップの過熱や発火の原因になりうるのです。
そのためにも、電気の屋内配線はしっかりした電源計画が重要。
そこで今回は、オフィスの屋内配線で失敗しないための電源計画についてご説明いたします。
▶︎目次
1.オフィスのレイアウトに合わせた電源計画を!
今回は、オフィスをテナントビルに移転するケースでお話を進めていきます。
テナントビルに移転する場合、照明や空調は使える状態になっていますが、OAタップなどのコンセントの設置は自ら行う必要があります。
その際、オフィス内で使われるコンセントはすべて回路が分かれます。
これは「回路分岐」と呼ばれ、オフィスのレイアウトに合わせてコンセントなどの配置計画を事前に行わなければなりません。
回路分岐とは?
回路分岐は当サイト内でも詳しくご紹介していますが、掻い摘んで説明すると。
まず、一般的な電気工事に伴う屋内配線は「幹線」と「分岐回路」で構成されます。
幹線とは「電気を利用する主要な場所までを結ぶ太い電線」になり、回路分岐は「幹線から枝分かれして、電気を使用する各部屋や場所へ振り分けられた細い電線」となります。
その枝分かれした回路分岐は、種類によって接続できるコンセントの定格電流や電線の太さが以下のように異なります。
種類 | 接続できるコンセントの定格電流 | 電線の太さ | 過電流遮断器の定格電流 |
---|---|---|---|
15A | 15A以下 | 直径1.6mm | 定格電流15A以下 |
B20A | 20A以下 | 直径1.6mm | 定格電流15A超20A以下 |
20A | 20Aのもの | 直径2.0mm | 定格電流15A超20A以下 |
30A | 20A以上30A以下 | 直径2.6mm | 定格電流20A超30A以下 |
40A | 30A以上40A以下 | 断面積8mm2 | 定格電流30A超40A以下 |
50A | 40A以上50A以下 | 断面積14mm2 | 定格電流40A超50A以下 |
通常、オフィスで利用する1つの回路は「20A」。
つまり、1つの回路が20Aを超えないような配置計画を立てる必要があるのです。
オフィスのレイアウトに合わせた電源計画を!
一般的なオフィスで使われるOA機器の消費アンペアは以下の通り。
機器名 | 消費アンペア(A) |
---|---|
複合機 | 12A~15A |
デスクトップパソコン | 1A~3A |
液晶モニター | 0.2A~0.5A |
ノートパソコン | 0.5A~1A |
レーザープリンター | 2A~8A |
インクジェットプリンター | 0.1~0.5A |
通常、日本の電圧は100V。
1,000Wの機器を使う場合、流れる電流は1,000W÷100V=10Aとなります。
そこで重要になるのが、オフィスのレイアウトを決めて、グループごとに何台のパソコンやプリンターを使うかを決めておくこと。
その際、消費電力が大きい複合機や、万一電源が切れたときに影響が大きいサーバーといった機器は単独回路にするのが一般的。
パソコンやプリンターなど、消費電力はお使いの機種によって異なります。
1回路は20アンペアまでと決まっているので、配置するOA機器の種類および台数を考慮して回路計画を立てないと、ブレーカーが落ちてしまう危険性があるので注意が必要です。
とはいっても、基本的に電気工事業者がすべて設計・施工を行うので、依頼する側はオフィスのレイアウト図にグループごとに使用するOA機器およびアンペア数をまとめてことが大切です。
2.オフィスの電気屋内配線の方法
次に、移転するオフィスの電源計画ができれば、実際にオフィスの屋内配線を行っていきます。
その際、自分たちで工事するという方はおられないと思いますが、電気の分電盤の設定やケーブルの配線は「第二種電気工事士」の資格取得者しか工事を行えないので、素直に電気工事業者に任せましょう。
電気配線の方法
実際にオフィス内で電気配線を行っていく上でのポイントとして、LAN配線と並べて配線すると、LAN配線の方に電気が干渉してネットワークに支障をきたすことがあります。基本は、電気配線とLAN配線は離して引くようになります。
また、電気配線に使われるケーブルには、電話やLAN配線のようなカーペット下に這わせるフラットケーブルは無く、無線による通信もできません。
そこで、電気配線を行う場合、入居・移転するオフィスの床がOAフロア(二重床)であれば容易に配線は行えますが、普通の床の場合は少々面倒。一般家庭のように、天井裏に配線していく方法や、壁に沿って配線していく方法など、内装の形状によって異なります。
基本は「モール」を使って配線していきますが、計画段階でしっかり配線経路を立てておかないと、踏みつけてモールが破損するなどの問題が発生します。
そうならないためにも、オフィスの屋内配線はしっかりした電源計画が重要なのです!
3.まとめ
オフィスでは様々なOA機器を使うため、電気の屋内配線はしっかりした電源計画を立てる必要があります。
一般的にオフィス内で使われるコンセントはすべて「回路分岐」によって配線され、1つの回路は20Aが基本。
そのため、オフィスのレイアウトに沿った回路設計を行い、合わせて配線経路までの計画を立てておくことが重要になります。
屋内配線は電気工事業者が行いますが、依頼する側もレイアウト図にグループごとに使用する機器の台数およびアンペア数をまとめておくようにしましょう。